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LINE6のワイヤレスマイクに関するtips

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バイトでLINE6のXD-V75のハンドヘルドマイクを、大学のミュージカルでXD-V55のヘッドセットマイクなどを使ってきて、気づいたことなどのメモです。

携帯を送信機に近づけるとノイズが入る

携帯電話をマイクに近づけるとギュルギュルってノイズが入ります。ひどいときは片手でマイクを持って、もう片方の手で携帯使うとノイズが入るので注意が必要。なぜか受信機に近づけても何も起きない。謎。

受信機は送信機が近づきすぎない場所に

受信機にマイクが近づきすぎると、その近づけたマイク以外のチャンネルの受信機が受信できなくなります。たとえば、1、5、10チャンネルの受信機がまとめて下手袖に置いてある場合に5チャンネルのマイクをもった人だけが下手にはけてきて受信機の前に立ったりすると、1と10チャンネルが受信できなくなります。
そういう事態をさけるために、受信機はどのマイクにも近づきすぎない安全な場所に置いたほうがいいです。私が関わった学内のミュージカルの公演では大道具の中に置いたりしました。だいたい2mくらいの距離を確保すればいいイメージ。狭い小屋だったら卓側に置くのもあり。

ダイナミックフィルターのボタンはとりあえず押しとく

説明書によると、押すとエクスパンダーとハイパスフィルタが入るらしいです。自分で適当に組み立てたマイクでミュージカルやるときちょっとノイズが目立って、押したらちょっとましになったので、なんとなくいつも押してます。さっき説明書で調べるまで実際にどんなフィルターなのかは知らなかった…とりあえず押しとけばなんかいいかんじになる。

WiFiとかは飛んでてもそんなに致命的じゃない

バイト先のハコでも大学の小屋でもWiFi飛んでますが、それが原因で使えないということはないです(もちろんWiFi止めればノイズフロアとかも下がって安心なんでしょうけどなにより不便)。LINE6は強い子。

総評

  • ハンドヘルド型の音質はとてもよいです。マイクモデリングを58にすれば、私の耳では本物の有線の58との違いはわかりません。

  • 電波が受信できなくなるリスクはそんなに高くないです。絶対に失敗が許されない現場(いや、まあ、どの現場も失敗は許されないんですけど)は別として(そういうところはA帯を使えばいいんだと思う)、予算があまりない現場(つまりうちのバイト先みたいな)やアマチュアなら少し気をつければ十分使えると思います。

  • 同時に使えるチャンネル数が多いです。V55の方でも12チャンネル同時に使えます。B帯の同じくらいの値段のワイヤレスマイクだとこんなに多く使えるものはないです。たとえばSHUREのBLXだと6波だし、オーディオテクニカの2.4GHzのものでも8波。

とてもおすすめ。

お手軽PAセットとPAさん――街の音響屋さんの落日

f:id:appleflourbutter:20170702013529j:plain Stagepasというというヤマハ製のPAセットがある。私の通っていた高校の放送室にも、これの古い機種(Stagepas 300だった気がする)があって、小規模のPAでは重宝していたことを覚えている。スピーカーとパワードミキサーが合体するような構造になっていて持ち運びも簡単。マイクとケーブルがあればとりあえず音が出る。*1 それだけでも便利すぎるのに最新機種はフィードバックサプレッサーとかSPXのリバーブとかも付いているのだそう。 説明書もわかりやすく、明らかに音響の素人が使うことを前提としている。これならうちの母校の生徒会担当の現代文の先生でも使える。すばらしい! でも、私はこれを素直に喜ぶことはできない。

これは音響/PA業界にとって脅威だと思う。

街の音響屋さんVSパワードスピーカー

もちろん、東京ドームや武道館でラインアレイを吊って、モニターとFOHで卓を分けて、といった大規模な有名アーティストの現場をこなすPA会社には関係のない話である。ここで問題なのは、神社のお祭りや町内会のカラオケ大会のような現場を担当する小規模のPA会社だ。
マイクを2,3本、CDや音楽プレイヤー、(運が悪ければ)MD、(もっと運が悪ければ)カセットテープ などの入力を16chくらいのミキサーでまとめ、GEQを通してアンプに送り、一対のスピーカーから鳴らす。これこそ、STAGEPASがターゲットとしている市場ではないだろうか。
音質にはそこまでこだわらず、GEQはなくてもよい。音量は頻繁に変えないからミキサーは60mmフェーダーでなくてつまみでいい。そのあたりを少しづつ妥協していけば機材はほぼSTAGEPASと変わらなくなる。マイクだって58じゃなくてベリンガーの安物でいいだろう。ここまでくればセッティングとオペレートはちょっと機械に強い人なら全く問題なくできるはずだ。

そのように、便利な機材が普及することはPAさんを不要にする。クライアントが直接機材を触り、それなりの音を出す。それで満足する。前のようにすばらしい音ではないかもしれない。前のように細やかな音量調節によって聞きやすいスピーチが届けられることはないかもしれない。でも、それで十分なのではないか。
STAGEPASは7万円。PA会社に依頼した場合の値段を1回3万円だとすれば、3回目でSTAGEPASのほうが安くなる。マイクなどの周辺機器を入れても5回目で十分だろう。
これからもっと機材は便利になるだろう。 オートマチックミキサーのようなものがもっと高機能になって安い機材にも取り入れられるようになるかもしれない。そうなったときにPAさんたちはどうなるのだろうか。ラッダイト運動でも起こすのだろうか。

*1:ギターとかに使うフォンのケーブルでアンプとスピーカーの間を繋いでたのは内緒。