【ETC Nomad入門ブログ vol.1】そもそもNomadって何?
NomadはETC社が作っている、いわゆるPC卓です。Windows PCやMac上で照明卓のソフトウェアを動かし、USBやネットワーク経由でDMXを出力して、照明を制御します。Grand MA on PCやTitan、Doctor MXなどは日本でもよく使われているPC卓だと思います。Nomadもその仲間です。位置づけ的にはETCが作っているEOSシリーズの照明卓のPC版になります。
何ができて、何ができないのか
Nomadはどんなことができて、どんなことができないのでしょうか。まずはできることを箇条書きにしてみます。
ソフトウェア上で明かりを作り、DMX出力をして実際の灯体を操作できる
EOSシリーズの上位機種(TiやGioなど)でできるようなプログラミングと基本的に同じ内容のことがNomadでもできます。ディマーのレベルを打ち込んだり、ムービングを回したり、たくさんのLED灯体でエフェクトを作ったり、キューを組んで再生することができます。そして、GadgetをUSBでつないでDMXを出力することができます。スペースキーがGoボタンとして機能するので、Goボタンでキューを送っていくだけのオペレーションならNomadだけで完結させることができます。
どこにでも持っていける
NomadでDMXを出力するのに必要なのはPCとUSBドングルとGadgetだけなので、リュック1つで卓を持ち運ぶことができます。もうSmart Fadeをキャリーバッグで運ぶ必要はありません。
学生にも手に入れやすい
学割があります。日本の代理店でも使えるようです。
では、Nomadにできないことはどんなことでしょうか。あくまでPC上の卓なのでいろいろあります。
打ち込みが不便
すべての操作をPCのキーボードとタッチパッドですることになるので、ムービングの打ち込みがちょっと大変です。ただ、USBで接続するプログラミングウィングもあるようです。*1
USBが抜けると怖い
GadgetでDMXを出力している場合、USBが抜けるとDMXが止まってしまうので怖いです。
フェーダーがない
すべての操作をキーボードとタッチパッドですることになるため、サブマスターやクロスフェーダーを使うのは現実的ではありません。タッチスクリーンを用意すればできるかもしれないけど、怖いので本番では使いたくないです。そのため、Nomad単体では即興性が求められるようなオペレーションには適さないと思います。
ただ、USB接続のフェーダーウィングも用意されていたり、OSC経由でMIDIコントローラーからフェーダーの操作をできるようにする非公式のソフトウェアがあるなど、フェーダー操作がまったくできないわけではなさそうです。
コマンドに慣れるまでが大変
Nomad(というかEOSシリーズ)はコマンドを打ち込んで明かりのレベルを決めたりキューを記憶したりするので、そのコマンドとPC上のショートカットキーに慣れるまで少し時間がかかります。これまでSmart FadeやSCENE SETTERや日本のメーカーの卓などを使ってきた人にとってはなかなか大変かもしれません。逆に、Expressなどはコマンドが似ているので小屋卓でExpressを使い慣れている方には親しみやすいかもしれません。
以上、Nomadの概要についてご紹介しました。次回はNomadのセットアップ方法についてご紹介します。
*1:でもプログラミングウィングを買うお金あったら素直にIONを買えばいい気もする……